就職は3秒で決まる。面接官が採用する3秒ルールとは・・・

我が息子も大学3年生になり、この夏頃から「就活」、「ES」、「インターンシップ」等というワードが家族Line上に出始めました。親バカ父さんとしては昨今の就活はどうなっているのか・・を調べずにはおられず、さっそく福岡市総合図書館に行き、ある本を見つけました。それは、

「就職は3秒で決まる。面接官が採用する3秒ルールとは」荒木亨二(著)主婦の友社 2012/10/13出版

ちょっと古い本ですが世間でよく耳にする就活ノウハウとはちょっと違う視点で書かれており面白かったので中身(要約)を紹介します。

 

面接官(人事部)はプロ。

面接時には学生が持つオーラを感じられたら合格。

このオーラというやつを、就活時期になってあわてて鍛えるというのは無理。今更どうしようもないし、そもそも面接官によりオーラを感じたり感じなかったりするし対策の打ちようが無い。

しかし面接のプロは第一印象(3秒間)でそのオーラを感じる時があるそうで、感じた時はその感じたオーラが正しいかどうかを見極める為の質問で面接を進めるそうです。

具体的には、面接官は学生の目を見るそうで、時として目の奥に潜む「何か」を見つけることがあるそうです。・・・深いし怖いですね。

学生は名優ではありませんし、第一印象の3秒間で目を演じることもできないので、対策としては、「何も考えずに面接官の目を見る」 しかないようです。

 

面接時のNG集としては、、、

・笑顔を作らない。 相手が警戒する場合がある。

ビジネスの世界では初対面の名刺交換の時などはちょっと緊張して表情は硬いのが普通なので、笑っていると面接官にとっては異質に思えるらしいです。

・体育会系のノリはウザいと思われる。

ハキハキもあるレベルを超えると白けるそうです。

従って、面接室に入る時は、相手は目を見てオーラを感じ取ろうとしているが、こちら(学生)は普通に「失礼します。よろしくお願いします。」とはっきりと言えばよいらしいです。

 

著者は定番のリクールトスーツ姿(兵隊になぞらえていました)には否定的です。

学生はあまり目立ち過ぎると良くないという世間一般論でリクルートスーツを着るのでしょうが、世界の激しい変化に対してチャレンジをしていく学生が欲しい企業が、没個性的な服装の学生で満足するはずはない。とうのが持論のようです。

また、面接にドレスコードを付していないのであれば、自分に一番似合う服(ジーパンにTシャツでも可)がベストであるとも言っていました。

まぁ確かに正論ではありますが、他人と異なる格好をしていると、何故その恰好なのかと突っ込まれ、その突っ込みに上手く返せないとマイナスになるという心配がありますので、現実には学生にとっては難しいと思いますね。逆に言えば面接官は服には目が行ってないので中身勝負で頑張るという戦略が無難かもしれません。

 

1次面接(若手社員担当)については、著者はこう語っています。

この面接の目的は、「面接のプロではない若手から見てNGの学生をふるいにかけること」なので、対策としては「できる」をアピールする必要はない。(出来る奴を探す面接ではなくダメそうな学生を落とす面接だから)

従って、面接に際しては先輩とちょっとオフィシャルにおしゃべりするイメージで臨み、相手の目をしっかり見ながら話せばOKだそうです。

 

2次面接以降(人事担当)、からは「できる学生を見つける」が目的になる。

人事が関心を持った学生には、「未来」、「特別」がキーワードになっている質問や対応をしてくるそうです。例えば、「この会社で何をしたいですか?」や「希望の部署はありますか?」なんて質問は入社後(未来)の事。

「最初の1年間は全員現場なんだけど大丈夫?」とか「他にどんな会社受けてるの?」とかも未来で且つ具体性が増しているので、その分人事の関心度も高い質問と言えるそうです。

また、関心の高い学生の面接に、面接にマーケティング部の管理職を同席させたりするといった特別な対応があったりするそうです。

このような面接の対策は、「普段(日常)考えていることを普通に話す」しかないと著者は言っていました。

例えばアルバイトだと、何故そのアルバイトをしているのか。(他のバイトではなくそのバイトなのか)、そのバイトをやってみて解ったことや感じたこと。 勉強で言えば、何故勉強するのか、大学生にとって勉強(ゼミ)とは何か、等々についてちゃんと考えた上での行動かどうか。人事はこの考えを聞くことでその学生が優秀か将来性があるかを判断しようとしており、特別な経験が無くても普段よく考えて行動していれば、普通の事でも十分に面接ネタになるようです。

 

就活NG集みたいな章もありました。

・業界研究はするな。 

過激ですねこの発言。企業研究にのめりこむと受験勉強みたいになり、結局面接想定問答集に行きつく。そんな研究結果を面接官は聞きたい訳ではない。

HP等に記載されている程度の大枠が理解できていれば十分かもしれませんね。そもそも細かい内情なんか外には出てきませんので。

・仕事研究をするなら実際にその仕事をしている人に会え。

業界が違う営業の複数の人に営業職について聞いてみるとかは、営業職の何たるかを垣間見ることができそうです。現実的な話を聞くのは確かに有効ですね。

・経済を知るには全国紙の読み比べ。

同じテーマの記事を数紙で読み比べる(著者はこれを定点観測と呼んでいました) 少なくとも半年は継続するように。 新聞の別の記事に目が止まり、見識が広がり自分の関心のある業界や職業が見えてくる場合があるそうです。確かに! 

更にその業界や企業について気付いた点、こうしたら・ああしたらいいんじゃないか等をレポートにまとめる作業をおこなうと文書力もつくし、自分の関心事が文字になるのでよりはっきりする可能性が高いとも言っています。(著者は自論レポートと呼んでいます)

・親からはアドバイスをもらわない。 

親は子供を守るという思考が働くので、安全策を取りがち。それは必ずしも今の時代に合っているかどうか解らないし、子供の可能性を伸ばすものとも限らないからだそうです。

耳が痛い・・・ でも親ですから色々と自分の息子には口出ししますけどね。笑

同様に少し上の先輩や友人、就職課のスタッフのアドバイスも聞いてはいけないそうです。親より子供の事を考えているはずもないので、そんな人のアドバイスは無意味ということでした。 まぁ自分でよく考えて結論を出し、入社後にそれが間違いだと気づいたら、さっさと軌道修正すればいいじゃないか。というのが著者の基本スタンスのようです。

・第一志望の会社を決めてはいけない。 

第一希望の会社に入れる確率は低く(ある意味大学入試より難しい。なにせ相手がオーラなんてよく解らない基準で計ろうとしているので、受験のように単語を100個より200個覚えた方が合格確率が上がるというものではない)、入れなかった時のダメージやもし運よく入れても現実とのギャップに悩む結果となる可能性が高くなるからだそうです。確かにそういう一面はあるかもですね。

・大企業がダメなら中小企業という考えは捨てる。 

中小企業は大企業選びの時のような基準が通用しないので、戦略や会社選びの自身の基準の変更を余儀なくされるので、大企業がダメだったから、そのまま中小企業の面接に臨んでも良い結果が得られるとは限らないとのことでした。

・ESを書くのに情熱は不要。

良いESとは要点が簡潔に書かれているもので、見た目的には余白が2~3割あった方が良いし、文章のプロットは小学生でもわかるようなシンプルなものが良いそうです。確かにビジネス文書では結論が1番で、説明は箇条書きでも良いくらいのシンプルなものですからね。 大企業の場合、担当者はESを山のように見ているので、小さな字で思いが沢山綴られたESや汚いESは見たくないのが企業の本音。沢山書けば目に止まる訳ではないということですね。

・志望動機は手抜きしろ。

ESを2~3枚しか出さないのであれば、その会社毎に志望動機が書けるので話は異なるが、何十通も出すならその会社毎に志望動機を考えるのははっきり言えば無理。仮に書けたとしても内容が陳腐なものになる可能性が高い。ならば志望動機に情熱をそそぐのではなく、志望動機は企業のHPを参考にそれらしくまとめるので十分。もし情熱をかけるのであれば自己PR。これは全企業向けESで使い回しするので、ここにその情熱を注ぎなさいとのことでした。

インターンシップに参加するなら目的意識を持て。 

企業がインターンシップを行う目的は2つ。①青田買い ②タダ働き と著者は明確に切り捨てています。②のタダ働きはともかくとして、①の青田買い対策として次のように言っています。

キーコンセプトは「いかに群れから抜け出せるか」みんなと同じような行動を取っていても会社側は振り向いてくれない。そして、社員は学生を見下している。これを変えるような大胆な行動を取るか、群れの空気を支配するような立場になれるかである。と著者は断じています。

この本の冒頭は就職特別扱校として10の大学が挙げられていますし、大学フィルターは確かに存在します。自分の現状を考えてインターンシップでの行動を戦略として実行しない参加する意味が無いと著者は言いたいのではないでしょうか。

 

何の為に働くのか? 自分の適職は何か? 何がしたいのか?

これらはなかなか難しい命題です。しかしここで堂々巡りして時間を費やしてはいられないので著者はライフスタイルからのアプローチを提案しています。

まず働く目的をシンプルに次の3項目に分けます。

①お金:どんな生活をしたいのか 

②時間:忙しく過ごしたいのか 

③やりがい:働くことで得られる感動や達成感が欲しいのか 

(もちろん3択ではなくても、項目別にウェイトを掛けてもいいかもしれませんね)

そして、横軸に②の時間、縦軸に①のお金を取り、業界や企業をプロットしてみます。

 

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どんな仕事がしたいのか

例えば、テレビ局は忙しい(労働時間が多い)が給料が良い。金融はそれに比べると忙しくないがやや給料は少ない・・・(実際のところは自分で調べましょうね)

もし、学生が武蔵小杉の高層マンションに住んで夫婦で海外旅行に1年に1回は行きたいと考えるのであれば、給料が高い業界や企業を選ぶべきで、その時は普段の忙しさには少々目をつぶらないといけないかもしれませんね。

所詮どんな一流企業に入っても、配属は会社任せで与えられる仕事も何か解らないし、それが自分に合っているかはやってみないと解らないし・・・ そんな解らない事をアレコレ思い悩んでもしかたがないので、ライフスタイルという切り口で若い時に金、時間、やりがいのどれに軸を置くかで業界や会社を選んでも良いのではないかという著者の提言ですね。これはこれで「有り」かと思います。

③のやりがい は会社に入って働いてみないと解らないので、その優先順位を上げて業界や企業を選ぶと、入る前と後とのギャップが発生し、「なんか違う」というと感じやすい。所詮やりがいなんてものは、やってみた後に出るものなので会社に入る前(何をするかも解らない時期)に「御社の〇〇事業は社会貢献度も高くやりがいがあると思います」なんて言っても面接官も「そうですね」と単純には同意できないかもしれませんね。

面接のアピールポイントとして著者は、「学生団体の副会長という話は不要」と断言しています。

サークルだと何をやっているのかある程度サークルの名称でイメージが付くが、学生団体の場合いくら説明されても面接官が解らなければ何も響かないので、そんな団体の副会長だったという学生の話には興味を示さないそうです。それにやたらビジネス用語を使う学生もNGだそうです。サークル等でビジネスの真似事をしていたとしか思ってもらえてないのが実情(確かに本当のビジネスの場は就職してからなので、それを知る担当者に向かって片仮名ビジネス用語を多用して話しても受けないでしょうね)

 

著者はグループディスカッションについてもこのように書いています。

会社がグループディスカッションで見ようとしている点は、

①コミュニケーション力(相手の言う事を理解する力+自分の意見を言う伝達力)。

学生はコミュニケーション力=伝達力としかとらえていない人が多くいるので、まずは理解力がポイントだと指摘しています。次に、

②プレゼンテーション力。これは話力だけではなく、聞いている人の様子を見ているか(気配り力)、相手の意見を受入れているか(聞く力)、ボディランゲージやアイコンタクト等もチェックしているそうです。最期3番目として

③判断力だそうです。A案かB案か・・自分の意見を決定しそれを明確に表し、AもBもダメだと思ったら代案を出すというのが判断力だと言っています。

また、ディスカッションにおける学生の一般的な特徴、「批判せず」、「自己主張を控え」、「面接官の目を気にする」という態度は論外だとも言っています。

ディスカッション=討論なので、的外れな意見やチープな意見に対しては遠慮なく批判しても問題なく、自己主張をしないのであればそこに居る意味が無く、討論は面接官の目を気にする場では無いと明言しています。

目立つ事=NG(美徳ではない)という日本的感覚では世界では戦えないということですね。

適当に意見を言いつつ参加者の意見を上手くまとめて存在感を示そうという学生の魂胆は、面接官はお見通しだそうです。

まぁこれもその会社にそんな学生を受け入れる土壌が無ければ、そんな学生は和を乱すという理由で落とされる可能性もあるかもしれませんね。しかし、自分が思ったことを堂々と主張することは、その責任も自分で取るという事なので非常に大切なことですね。これからはそんな人が引っ張っていく人材なのかもしれません。

 

面接の心構えとしては、、、

①面接では自分らしさを出しなさい・・これには気を付けよう。

自分らしさ=素の自分と捉えてしまい面接でしゃべりまくっても、面接官は右から左。

②面接は売込の場ではない。

では面接とは何の場か? 「面接官に聞かれたことに答える場」であると著者は言っています。聞かれてもないことをペラペラしゃべるのはNGですね。

例えば、、、

面接官:「あなたの好きな花は何ですか?」

学生:「私が好きなのはバラです。何故ならば、トゲと美しい花が同居して・・・」

この場合の学生の答えは「☓」です。理由は尋ねられていません。

このように聞かれていないことを良かれと思いペラペラしゃべると面接はNGだそうです。

それに、面接時の質問に対する答えに、良い答え/悪い答え、正しい答え/間違った答え、模範解答なんか無いとも言っています。面接官は、学生とのやり取りから別の何か(面接官のその時の目的により異なる)をつかもうとしているだけなので、学生は日頃考えていること以外は作り話になるのでそれを質問の答えとしてシンプルに話すのが成功法だそうです。

 

本の終わりに面接直前に唱えるとよい3呪文が書かれていました。

①面接官に好かれようとしない。

そんな事しても好きになってはもらえない。相手は仕事してるだけ。

②面接官は偉い人ではない。 

その人が偉い訳ではない、その人の立場が偉いだけである。

③面接官は正しい人ではない。 

その人が正しいかどうかは解らない。面接官の判断はその時のその会社にとって正しいだけ。

 

注意:

・本の内容を自己流にアレンジして記載している所があります。

・加えて私の意見を書いているところもあります。

・私の解釈が間違っている可能性もあります。

・本ではもっと色々な事が書かれていますので興味がある方は実際の本で確認されることをお勧めします。

 

さて我が息子はどんな就活をし、どんな会社に入るのか楽しみです。

こんな長いブログをお読み頂きありがとうございました。

 

就職は3秒で決まる。―面接官が採用する「3秒ルール」とは?

就職は3秒で決まる。―面接官が採用する「3秒ルール」とは?