ジャンヌ
ジャンヌ Jeanne, the Bystande(河合莞爾)
〈ジャンヌ〉と名付けられたそのロボットは、「自律行動ロボット三原則」が組み込まれ人間に危害を加えることを禁じられている為、絶対に人を殺せないはずだった。しかしその家事ロボットが使用主を殺してしまう。
ストーリーの展開がそれほど複雑でなく、登場人物も多くないのでズンズンと読める作品だった。
【 以下 ネタばれ 有り! 】
何故人を殺せないはずのロボットが殺人を犯してしまったのか、、
人、ヒト、人間・・ この区別(定義)についてAIが出した答えがポイントである。
ある律法学者が現れ、イエスを試みようとして言った、「先生、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。
「律法にはなんと書いてあるか。あなたはどう読むか」。
彼は答えて言った、「『心をつくし、精神をつくし、力をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。また、『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』とあります」。
「あなたの答は正しい。そのとおり行いなさい。そうすれば、いのちが得られる」。
すると彼は自分の立場を弁護しようと思って、イエスに言った、「では、わたしの隣り人とはだれのことですか」。
イエスが答えて言われた、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃げ去った。
するとたまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ると、向こう側を通って行った。
同様に、レビ人もこの場所にさしかかってきたが、彼を見ると向こう側を通って行った。
ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、
近寄ってきてその傷にオリブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。
翌日、デナリ二つ[注釈 1]を取り出して宿屋の主人に手渡し、『この人を見てやってください。費用がよけいにかかったら、帰りがけに、わたしが支払います』と言った。
この三人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」。
彼が言った、「その人に慈悲深い行いをした人です」。そこでイエスは言われた、「あなたも行って同じようにしなさい」。
※サマリア人は当時ユダヤ人からアッシリアの血が混じった汚らわしい人だとされていた。そのサマリア人の行動が最も優れている。(Wikiによると解釈はいくつかあるようだが)
※現在、アメリカ合衆国などで導入されている善きサマリア人の法(good Samaritan law)とは、「窮地の人を救うために善意の行動をとった場合、救助の結果につき重過失がなければ責任を問われない」といった趣旨の法もこのストーリーの謎解きの鍵となっている。
ストレートに読めて面白かった。